レンズ沼という言葉がありますが、レンズの選択って悩みますよね。
ソニーEマウント用の望遠ズームレンズを色々と迷った結果、TAMRON 70-180mm F/2.8 Di III VXDを購入し少し使ったので感想を。
作例も載せましたが、F2.8通しの望遠ズームレンズとしては破格の安さ、軽さ、それでいて写りも良いです。
TAMRON 70-180mm F/2.8 Di III VXDとは
タムロンの70-180mm F2.8は2020年5月に発売されたソニーEマウント(フルサイズ)用の望遠ズームレンズです。
タムロンはこれまで、小型・軽量化と高画質を両立させたズームレンズとして、標準ズームレンズ「28-75mm F/2.8 Di III RXD (Model A036)」、超広角ズームレンズ「17-28mm F/2.8 Di III RXD (Model A046)」を出していて、好評でしたが、そこに本望遠ズームレンズが加わり、フルサイズミラーレス用大口径ズームレンズが出揃った形です。
最大の特長は、とにかく「小さく」「軽く」「安い」ということ。
開放F/2.8通しの高性能レンズでありながら、フィルター径φ67mm、最大径φ81mm、長さ149mm(70mm時)、重量810gという世界最小・最軽量レンズ。
価格も実売12万5000円前後と当たり前のように20万円以上する他社のF2.8通しの望遠ズームレンズ(70-200mm)と比べて約半額。
望遠側が180mmまでと一般的な70-200mmと違うのと、レンズ内手振れ補正機構が付いていないのですが、それだけで重量と価格が半分になるものなのか。
F2.8通しの望遠ズームレンズなんて高嶺の花と思っていたのが、「あれ、10万円ちょっとなら買えちゃうじゃん」と言う感覚になります。
これで写りも良いと言うのだから、ソニー機を持っているなら使ってみるしかない。
APS-C機につけた際には105-270mmとなり、これはこれで使いやすそうです。
外観
質感・大きさ・重さ
レンズの外観はいたってシンプル。
28-75mm F/2.8 Di III RXD (Model A036)同様、高級感のある外観とは言えない(若干プラスチッキー)普通な見た目だと思いますが、重くなるくらいならこれで十分です。
70mm側の時に長さ14.9cm、重さ810gです。
FE 70-200mm F2.8 GM OSS (SEL70200GM)は長さ20cm、重さ1480gですので、それに比べれば断然小さく軽い。
普段EF24-105mm F4L IS USM (670g)やEF16-35mm F4L IS USM (615g)を使っているので、それに比べて多少大きくなるものの、抵抗なく扱えます。


FE55mm F1.8ZAとのサイズ比較。


望遠側ではレンズが伸びます。
個人的にはインナーズームの方が好きですが、収納時のサイズを考えると伸び縮みするタイプも悪くないのかもしれません。
そう言えばキヤノンの70-200mm F2.8のRFレンズも伸び縮みするタイプになりましたし、そのような流れなのかもしれません。
ズームリング・フォーカスリング・ボタン類
フォーカスリングが本体寄り、ズームリングが先端側にあります。
これまで使用してきたレンズは全てズームリングがカメラ本体側に付いているものだったため、咄嗟の操作で間違えてしまうことがあります。
操作性そのものはフォーカスリング、ズームリングともにスムーズでトルク感含めて良好です。
こちらはズームのロック機構。
ロックをかけなくても、カメラをぶら下げて歩いていてレンズが勝手に伸びるということはありませんでしたが、ズームロックスイッチがあるのは良いですね。
(今使用しているEF24-105mm F4L IS USMはカメラをぶら下げて歩いていると重力でレンズが伸びてしまうので)
なお、このロックはレンズを縮めた状態(70mm側)の時にだけ使えます。
ズームロックスイッチ以外にレンズ本体にボタン類は何もありません。
タムロン70-180mm F2.8は70mm側でマニュアルフォーカス時に最短撮影距離が短くなる特徴があるので、使い勝手を考えると、 AF/MF切り替えボタンくらいはあってもいいのでは?と思いました。
フィルター径
フィルター径は67mm。
タムロンはレンズのフィルター径を揃えることに拘っていて、ユーザーのことをよく考えているなと好感が持てます。
NDフィルターやC-PLフィルターの使い回しができますもんね。
性能
手振れ補正機構なし
タムロン70-180mm F2.8は手振れ補正を無くすことで軽さ・小ささを実現させています。
ボディ内手振れ補正があるとは言え、望遠レンズということもあり、手振れには気をつけた方がいいです。
ただ私のように子供を撮影する場合は被写体ブレを防ぐために、結局はシャッタースピードをそれなりに上げるので、手振れ補正機構が無くても全然OKという考え方もできます。
私は状況に応じて最低シャッタースピードを1/125秒か1/250秒に設定して使っています(三脚撮影除く)。
静かで早いAF性能
α7IIIと組み合わせ時のオートフォーカス性能ですが、コンティニュアスオートフォーカス(AF-C)時には非常に早くて驚きました。
本当にスッとピントが合いますし、音も静かです。
シングルオートフォーカス(AF-S)時は迷いが出ることがあるので、現在はAF-Cのみの運用にしています。
MF時近接領域撮影
そもそもタムロン70-180mm F2.8は最短撮影距離がズーム全域で0.85mと、望遠ズームレンズとしては寄れるレンズです。
加えて、マニュアルフォーカス(MF)時に、広角端70mmで0.27mまで寄れる「近接領域」撮影が可能になっています。
AF/MF切り替えスイッチがレンズ本体に付いていないのが不便ですが、マクロレンズを持ち歩いていない時などに簡易的に使えるのはいいかもしれません。
ご覧のように、180mmで最短撮影距離で撮るよりも、70mm近接撮影時では、さらに被写体を大きく捉えることができます。
画質
画質については条件を揃えた細かな検証はしていないので、自分が撮っていて満足できるかどうか主観も入ったレビューになります。
優れた解像感
購入前にタムロン70-180mm F2.8について調べていて、海外サイトでGMやGレンズと遜色ないシャープネスと紹介されていましたが、実際に使ってみて確かに良いです。
サイズを小さくするために画質を妥協といったことは無く、抜けのいいシャキッとした写りをします。
例えばこちらの写真↓一部分を切り出し。
判断は人それぞれですが、かなり良いのではないでしょうか。
なだらかで綺麗なボケ
子供の撮影をしていてボケは自然でとても綺麗です。
また、玉ボケに関してもF4〜5.6まで絞ると綺麗な円形となります。
F2.8


F4


F5.6


F8


F11


逆光耐性
逆光耐性は悪くないです。
ただし、太陽を直接入れると上の写真ようなフレアとゴーストが発生します。フレーミングを変えるだけで印象は変わるので、少し気を使うといいでしょう。
作例
作例はRAW撮影した写真をLightroomで色味などレタッチしたものを載せています。


α7IIIは高感度耐性が高いので、ISOを気にせず上げてシャッタースピードを稼いでいますが、早朝の薄暗い森散策では、F2.8という明るいレンズはやはり有利。
遠くの風景を切り取れるのが望遠レンズの魅力。
より望遠を求めるなら100-400mmですが、明るさを撮るか望遠を撮るか、自分が何を撮りたいかで優先順位は変わってきますね。


望遠ズームと言っても、70mmスタートだと標準レンズっぽい使い方もできるので、スナップ撮影が楽しいです。


これまでF2.8通しの望遠ズームレンズなんて旅行には論外、と思っていましたが、ちょっと頑張れば持ち出せちゃいます。
35mm F1.8との組み合わせがいい感じでした。
こちらはアオサギ。身近な野鳥も180mmにトリミングで撮れることも。
日常の景色を少しドラマチックに。
家族写真にとても良いです。
総評
TAMRON 70-180mm F/2.8 Di III VXDをまとめると、
「小さく」「軽く」「安い」コスパ最強大三元望遠ズームレンズ!
と言えます。
こんなにも小さくF2.8通し望遠ズームレンズは他にありません。
それでいて最新設計なだけあって写りはシャープでボケも綺麗。
レンズは持ち出さなければ宝の持ち腐れになります。特に今までのF2.8通しの望遠ズームレンズはとにかく大きく重いので、悪目立ちするし、一日中持ち歩くのは大変。
小さくて軽いというのは立派な性能です。
FE 70-200mm F2.8 GM OSSが高いからタムロンを買う、というネガティブな理由でなく、ポジティブに選びたいレンズ。
このレンズを選べるのはソニーEマウントの強みと言えますね。
*適宜作例は追加します。
現在1歳の子供を撮影していますが、室内はFE35mm F1.8、屋外はTAMRON 70-180mm F2.8と、この2本のコンビが最高で非常に気に入っています。
こちらの記事もどうぞ